MISSING PARTS OUTSIDE  第1話


    Prologue


 聞き込みを終えて外へ出ると、空は一面の曇り空だった。
(冷えるなあ・・・)
 雪が降りそうな寒さに思わずコートの衿をかき寄せる。
 ――慌しい夏の事件から数ヶ月が過ぎ、季節は真冬を迎えていた。
 鳴海探偵事務所は、以前から知名度の高かった誠司所長の帰還を受けて、徐々に依頼が
増え始めている。
 といっても、所員の性格が性格なので、事務所の経済状態がどれだけ改善されるかは謎だ。
・・・必然的に自分の経済状態もだが。
(成美さんのほうも相変わらずだし・・・)
 携帯を取り出して、事務所の番号を呼び出す。
『はい、鳴海探偵事務所です』
 京香さんの声だ。
 何故か所長は、自分はソファに陣取ったまま、デスクの席を京香さんに任せたままでいる。
「あ、真神です。今終わったんで所長に報告を・・・・・・」
『おー、どうだった青少年』
 ・・・また電話を急に取り上げたらしい。傍で京香さんが抗議している声が聞こえる。
 最近恒例のやりとりになりつつあるのでコメントは諦め、先程の調査内容を報告する・・・。
『んー、そうか。まぁ、今の時点じゃそんなとこだろ。後は連絡待ちだな。今日は上がっていいぞー』
「はい、わかりました。・・・それであの、実は」
 成美さんに頼まれた探し物があるので、寄り道していくと話すと爆笑された。
『そーかそーか、うん! 姉さん孝行だな。頑張れよー青少年』
『ちょっと、お父さん! 真神くん、また成美に何か言われたのー!? お父さんってば、電話・・・・・・』
 ――切れた。
 何かひっくり返したらしい大きな音がして、耳が痛かった。・・・近々壊れるんじゃないだろうか、
うちの事務所の電話。
「ふう・・・・・・」
 溜息をついて携帯を切り、ポケットに突っ込む。
 さて、あまり遅くならないうちに行かないと。
 さっき、話のついででこの先に小さな民営の資料館がある事を聞いたのだ。少し離れているが
一応行って場所を確かめてこないと。
(わかってるのに見てこなかったなんていったら、成美さんに何て言われるか・・・)
 目的の方向を目指して歩き出す。
 冬とはいえ、まだしばらくは明るい時間の筈なのだが、空模様のせいか空気まで灰色のような
感じがする。
 ――と。
 前方で、声がした。
「!!」
 それ を見た途端、何も考えず、反射的に走り出していた――――



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